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一日一句、季節の移り変わりを感じていけたらと思います。 また詩の方もつれづれに…
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かき氷

暑さがイメージを超えた日
白く丸い屋外テーブルで
ひとり
かき氷を食べる
他に客がいない

白いテーブルの上に氷が落ち緑色の
小さな水溜まりが
できる

直射日光が首筋を
ひりひり
帽子の中は
爆発する寸前

舌はヒンヤリしびれ
鼻がツンツン

その時
棒高跳びの選手が
高い白いバー
を超える

遠く祭り太鼓の
音がする

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とても楽しくて
この上なく陽気に
なっている時

背中に
一本の黒い糸が
あり
遠くから
引っ張るやつ
がいる

楽しい時は
一瞬
だけど
永遠という
名でもある

ふつう

ふつうのひとなんかいない
とおもうのに
ふつうでいい
とおもうおや
たぶんじぶんは
ふつうじゃない
いきかたをして
なぜ
こどもに
ふつうをのぞむのか

べんきょうはできないよりできたほうがいい
うんどうもとくいなほうがいい
おかねもできればあったほうがいい

あいまいさが
ふつうをのぞむ

たくさんのふつう
ありふれているわたし
ふつうのひとも
たにぞこにちかいところで
なやむ




おたまじゃくし

こうえんのいけを
おもいあたまを
かかえ
ゆらゆら
なやんでいるやつに
あう



とうもろこし

友だちが
とうもろこしを
抱えてきた
きみどりのズボンが
両手の
とうもろこしを並べて置く
木が実を下ろしたように


(どうも留守ぎみになり、気楽に入れてみることにしました)

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夜鳴きの鶏


鶏が夜鳴きをする
午前4時
ガァゲェゴォゴォォォ
鳴きすぎて声が嗄れている

隣家のクリスマスイルミネーションは
夜通しきらめき
近所の人たちを楽しませてくれた
12月のその頃
雄鶏ピースは大人になり鳴き始めた
太古の本能のとおりに遺伝子が呼びかけ
少しの明るさに敏感に鳴く
抑えられないざわめきは強い雄鶏の証
現代には本当の闇は減り
神がかりなものたちの
居場所も少なくなっている

それにしても
今日はひとしおよく鳴く
なにやら明るい
カーテンを開けると
南の空に大きな丸い月が出ている

kame.jpg













にんげんてふしぎ


にんげんてふしぎ
どうぶつなのに
どうぶつで
あることを
きらっている

にんげんてふしぎ
あたまいいのが
どうして
そんなに
いいことなのか

にんげんてふしぎ
ねこからみれば
みんなおなじかおに
みえるのに
けしょうする

にんげんてふしぎ
どうぶつなのに
どうぶつで
あることを
わすれている

mitumata.jpg

















途中なり(川柳)


★轢かれちゃう気をつけなさい猫に言う

★不似合いと言われたけれど好きな服

★途中なり頂点見えぬ天仰ぐ

★夢ん中すやすやねんね小さな手

★この命じっくり磨いていい味に







熊谷文芸20年3月(創刊号)

asamoya2.jpg
















色泥棒

わたしは白黒の迷路の中にいる
カラーはげんじつを現実としたけれど
最初からあったものだから
あたりまえのように通り過ぎる

むしろ白黒であることが
未来的進化のように思える
色彩は意識的に有るべきで
最初からあってはならない

カラーは日常をそっくりに演じるため
錯誤しやすいかもしれない
殺戮のビデオを観て
演じようとする犯罪者達

白黒の持っている非日常を
日常にしてしまった色の魔術
色が鮮明になればなるほど
現実との境界線は無くなっていく

わたしは白黒の迷路の中にいる
白黒の昔の映画が好きだ
黒澤明の「生きる」が好きだ
色泥棒になりたい



てのひらの会2008年5月

sakura2008b.jpg

















さくら色 

桜並木が土手に線をひいた
青空と土手と桜
青と緑と桃色の帯が
画用紙に定規で引いたようにのびる

家のなかのもぐらは気付かない
ただ風にのって
たのしそうで
うきうきするような
淡い匂いをかぎつける

やってきたもぐらは眩しくて
目をぱちぱちさせて
土手のみごとな変身ぶりに言葉が出ない
ある意味こわいような気さえする
おしみなく美しいということ…

もぐらは
ブツブツひとりごとを言いながら目をとじる
自分の部屋にいたほうが落ち着くな
退屈だけれど…

暗い部屋で目を閉じれば
湧き上がる思いのようにときめく
また少しのぞいてみたいような
気がする…

眩しくて呼吸が
できなくなりそう
さくらの木
花びらが肩にひとひらついている


てのひらの会2008年5月

asamoya.jpg

















   ゆううつ

どこでひろったのか
ゆううつが
いつのまにかとりついている

きっかけは
おもいつかない…
おもいつかないことが
きっかけで
いつかしぬことを
なんとなくよかんし
こげたにおいのする
あこがれが
もえかすになっている

そのちゅうとはんぱが
やじるしを
ちがうほうへとさして
ばかみたいに
いくつもみちにまよい
ひとよりじかんをかけ
かんそうのゴールのみえないみちを
はしっている
またまよったような
きさえしながら

s.idai7.jpg
















   鉛筆


子どもの頃ナイフで鉛筆を削るのが苦手だった
芯が真直ぐにならないし
木がすっと芯の先端まで三角形にならず
ごつごつしてしまう
わたしが削った鉛筆はすぐに芯が折れる
もちろん家では鉛筆削りを使ったが
筆箱にはナイフを皆持っている
鉛筆に切り込みを入れ
トーテンポールのように鉛筆を彫るクラスメイトは人気者だった
きれいに彫った鉛筆をもらったことがある
その宝物への大切な思いが今もある
s.idai6.jpg

















   魔女カカさん


一.
帽子の好きな魔女カカさん
大きな夜空を一直線
三日月越えて、森の向こうへ
誰も知らない小さなお家

二.
料理の好きな魔女カカさん
きょうは病気の友達に
たまご焼を作っている
大きな大きなたまご焼

三.
コンコンドアをたたく音
のらねここねこ倒れこむ
おやおやこれはどうしたの
腹ペコで死にそうなんです

四.
料理の好きな魔女カカさん
のらねこ食べる夢中で食べる
大きな大きなたまご焼
庭で鶏鳴いている

  一.の繰り返し。





みみずくNo29(2007)
hakutyouarakawa.jpg

















    五月の店

一、
桜たちは華やかな
ヒロインの翼を閉じた
満開の疲れを風にゆらせ
絵の具の匂いと
ほどいている

キラキラ揺れるこもれび
サワサワ薫る緑の風

二、
その時「お茶でも
どうですか」と声をかけられ
桜の精はほおっと溜め息をつき
少女の顔で訪れる
店がある

キラキラ揺れるこもれび
サワサワ薫る緑の風

三、
絵のかかる店で
桜の精はそっとお茶を飲む
小鳥がきてかすかに笑った
緑の薫りがして
カップだけが残る

キラキラ揺れるこもれび
サワサワ薫る緑の風


この詞に曲をつけてもらいアマチュアバンド「ひき」が唄います。
5月頃。これはまだ習作です。    
s.idai3.jpg


















   銀河に近い病室の駅


銀河の駅、眠れない夜に出逢う
夜中の時間をもてあましている
ナルミさんもわたしと同じ、眠れない
たまたま、わたしとナルミさんは同じ猫の柄のあるスリッパをはいている
「猫、好きなの?」 とナルミさん
「うん、猫、いたんだけど二十歳で死んだの
去年の夏のお祭りが終わった次の日の朝」
ナルミさんは鼻の下にチョビヒゲのある猫の自慢話をする
写真を見せてもらうと確かにチョビヒゲのような模様
かわいいけれど、おかしい

人は考えないで酸素を吸う
酸素をありがたいと思う人はいない
あってアタリマエだから
病人っていうのはアタリマエを失くしてしまった人
アタリマエの大切さを一番よく知っている人のことだろう
いつも酸素を必要とするナルミさんの日常
この地球でナルミさんの周りだけ酸素がうすい

一年後の夏、ナルミさんからのメールがとだえる
携帯電話は解約されている
ナルミさんは銀河の駅から汽車に乗ったのだ




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ゆっくりと自分の俳句や詩と向き合って行きたい。
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